2013年12月14日

もしも君が。

この結末をまだ僕は知らない 



僕は覚えている。

あの時の感覚を、感触を、温かさを。
たった一瞬、触れた唇を。

「や……」

唇が離れて、君がどこかへ行こうとする。
背後に感じた石の冷たさ。 それが一瞬にして僕を覆っていきそうで。
怖くなって無我夢中で手を伸ばした。

君の背に触れる、君は驚いて僕の方を向いた。
目が合う。手が触れる。

細くしなやかな体、そのにほんのりとつく筋肉。
僕にはわかる、服越しだとしても。

つい一刻前に触れていた、抱かれていた温かみは忘れない。

「やだ」

我儘だろうか。

このまま離れて欲しくない、もっと触れて欲しい。もう一度口付けて欲しい。
温かみと冷たさの狭間で微睡みたい。

我儘だろうか。

君は目を見開いて、赤い顔でこちらを不安げにみる。
指が冷たい。

どれくらい時間が経ったのか、感じているほど経ってはいないのか。
君が息をつく。目を逸らし、困ったように体が揺れた。

「タナッセが好き」

我儘だろうか。

君は困るだろうか。
でも僕は、あの時から君を忘れられない。

「タナッセ」
「……もういい」

温かい。
僕は君の中で眠る。

まるで、母さんのようだった。
posted by ロベリ at 13:23| かもかて小話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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